人からお金を借りてはダメ、消費者金融で！

自分のことを「人がいい」とやや腹立たしげに言うT子さん（29歳）。人がいい、っていいことなんじゃないですか？

「人がいい、といえば、聞こえはいいですが…。要は断れない性分だったんですよ。人に頼まれると、どうしても、いやだ、とは言えなかったんです…。それで何度かイヤな目に遭いました」。

大学在学中のT子さん。とても金まわりのいいバイトについていた。バイト先のスタッフにも気に入られ、可愛がられており、バイト代がいい上に、食事を奢ってもらったり、服やアクセサリーをプレゼントされたり、海外旅行にまで連れていってもらったことさえあるのだと言います。同級生、つきあっていた彼氏より、お金持ち。「とにかく、お金で苦労していなかった。欲しいものは買えたし、おいしいものは食べに行けたし…」。友人たちにも、よく食事を奢ったり、彼氏にもプレゼントをすることも、しょっちゅうだったのだそう。

「そのうち、お金を貸して…。と言われるようになったんです。その頃の、私の羽振りのよさから言ったら、全然たいした金額でもないし、友人たち、彼氏とも、きちんと信頼関係も築いている。実家も、親きょうだいも知っているし。ちょっとした顔見知り程度の人だったら、いくら人のいい私でもお金を貸したりしませんよ。借金したままトンズラなんかされたら、どんなに少額でも、さすがに気分悪いですもの…」とT子さん。

お金を貸す際には、一応メモを取り、相手にも渡した。「いついつまでに返してね、とざっくり伝えておきました。借りるときは、みんな神妙ですよ。絶対にすぐに返す、って言いますよ。でもね…」。なんだかんだで、期日までにお金を返さないことがほとんどだったのだとか。

「舐められてたんですかねえ…。貸したお金全部回収するのに、結局五年もかかっちゃったんです！顔合わせるたびに、〝お金返して〟っていうのも気が引けるでしょ…。だから、三回に一回くらいにしてたんですよ。お金の督促は。それでもイヤ〜な顔されましてね。彼氏も、私と顔会わせるのイヤだ、金返せって言われるから、って周囲に漏らしてたみたい…。お金を借りて返さない方が、断然悪いじゃないですか？なのに、貸したものを返してくれ、って当然のことを言ってる方が悪者扱いですよ？信じられない…。友人として貸してるから、利息も取ってない。たった数万でも、もし、消費者金融で借りていたら、利子が相当に膨れあがったでしょうし、返済の遅延でその先、他の借金、たとえば住宅ローンなどを組めなくなってしまうこともあるって言います…。どれほど罪深いことをしたのか、借りた側には、まるで自覚がないんですね」。

その後、T子さんにお金を借りた友人たちとは疎遠に、彼氏とも別れてしまったと言います。「どんなに頼まれても、お金は絶対に貸しません。もし、どうしても、と食い下がられて貸すとしたら、恩着せがましく、『このお金はあなたにあげるわ。返さなくていい。あなたに会うのもこれっきり』と言おうと思います。それなら、借りない！と逃げ出すか、意地になって返してくれるのか…。でも、思います。お金を借りる人は、それなりの覚悟を持って借りるべきだと。人のいい友人から安易に借りてはいけない、と。それなりのリスクを背負って、消費者金融で借りるべきです」。きっぱり言い切るT子さん。「いい人、って絶対損する。いい人の看板はとっとと下ろしちゃった方が得策ですよ！」そう、断言するのでした。